2007年6月15日金曜日

メッセージ

大好きな人が死んだ。
とても大切な人だった。
今朝の8:45だったという。
父からの電話をとったのは御茶ノ水駅改札前。
重たい荷物をかかえて、改札を抜けようとしたときに着信があった。
知らせを聞き、赤信号になる前に、私は横断歩道を駆け抜けた。

彼女は私の曽祖母。
97年間の彼女の人生は、今日幕を閉じた。
能登沖地震後、急に様態が悪くなった。
それでも、しぶとく、しぶとく彼女は生きた。

「生きる」ということ。
「勇気」ということ。
「学ぶ」ということ。

年をとっても、決してやめない「学ぶ」姿勢に、
私はどれだけ「生きる」ことへの「勇気」を感じて、感銘を受けて、影響されたことだろう。
4月、能登沖地震後に石川へ帰ったとき、 被災地の門前に住む彼女の部屋を訪ねた。
私が幼いときから、話といえば、自分の昔のことばかり。
しかし、その日は違っていた。
「まきちゃん、本当に愛する人と結婚しなさいよ。
本当に愛する人を見つけなさいよ。」
これが私たちの最後の会話となることを知っていたのかもしれない。
彼女の目には涙が浮かんでいた。

明治生まれ。
曽祖父とは結婚式で初めて対面した。
苦しんで、悩んで、あきらめて、妻として、母親として生きてきた。
彼女のメッセージはストレートだったが、私の心には深い海を残す。

今日、彼女の人生は幕を閉じたが、 誇りである曾祖母は、決して私の心から消えることはないだろう。