(2010年1月 ホーチミン)
ウェイトレスとして働いているバイト先の夢庵仙川店にきたおじいさんが
大根ぱりぱりサラダとドリンクバーと明太子チーズオムレツをオーダーしました。
かれは、ファミリーレストランの個室ともいえないような仕切りしかない4人席に座っていました。
白いひげを鼻の下に薄く蓄えて、ベージュの綿パンに緑のセーター姿。
黒くて重そうなレザーのコートを彼が座っているいすの背もたれにかけていました。
4人席だからもっと空間をりようして、コートも隣の席くらいにおいてしまえばいいのに、
と思いました。
外見は「紳士的」ということばがぴったりなほど落ち着いた様子で、
右手を左手にのせ、組むしぐさも、わざとらしくはないように思えました。
そう思った、そのとき、でした。
「20歳の誕生日に一つだけ君の願いをかなえてあげよう」
と彼は低い声で、でも、はっきり明朗とした口調で言ってきました。
(2010/04/07 本多勝一の作文技術の本と村上春樹のバースデーガールをいっぺんによんで)
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