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入り江
おもったこと。
●作品のつくりについて、ざっくり
ストーリー性もあるし、監督のいいたいことが伝わってくる、という気がします。
登場人物にも感情移入できて、編集も手が込んでいると思う。
なかなつくりはプロ級。お金かかっていそうかな。
だから一人称の小説を読んでいるような気分だった。
しらけて見ちゃった場合は面白いと思えないんだろうけど、でもうまく感情移入できれば面白いと感じると思う。
●取材について
・いろんな人に話を聞いているように感じた。
ただ、太地町に住む人や漁師さんへの取材はなかったように思う。
もし拒否されて取材できないにしても、その理由があればよりよかったと、自分は思うと思う。取材しようとしているシーンがひとつあるだけで違うかもしれない。
・個別になるけど、いるかの肉が鯨の肉として全国で売られているっていう話についてはなんのことかわからなかった。
どれくらい売れてるとか、うっている数とか量とかそういうのはちゃんと説明してほしいかも、と思った。
・もう一つ、あそこまでモザイクだらけなのは私は好きではない。
隠し撮りだからなんだろうけれど、うーん、
あきらかに隠し撮りでもないもの[ほんとうはかくしどりなのかな・・・[カメラに向かって話していたけど]もモザイクなのは何でなんだろう。
なにか意図があるのかな。
みえちゃうとよくないことがあるんだろうと思っていろいろ考えては見たんだけど。
モザイクをかけることで個人を匿名化して「日本人」として一般化したいんだろうか、とか
もうただつけることになれちゃったからだろうか、とか。
ワイドしょー・・・??モザイクかけることで悪者感は増幅する気がする。
・水銀の数値については、私は間違っているのかあっているのか、一人の力で判断できないから、一視聴者としてはなにも言えない。
全くないことをひねりだして作っているのだとしたらおかしいと思うけど、そこはちゃんと確かめないと。確かめてない私には何も言えない。
●いるかの肉を食べてはいけないことについて
いるかを殺してはいけない理由には頭の良さがあげられていたように思う。
頭の良さと自己認識能力だったか。
うーん、日本に25年いきた私には全然共感できないなぁ。
きっと日本人も「「●●人」にはみんな自己認識能力があるし賢いほ乳類なんだ。だから殺してはいけない」、とかっていわれたら「そうだ」となるんだろうし、そこにあきらかな根拠なんて示されていないんだから同じと言えば同じかもしれない。
ずっとずっとこの作品を見ながら考えていたのは新潮社の「考える人」の今月号の村上春樹ロングインタビュー。
村上「善とか悪とかいうのは絶対的な観念ではなくて、あくまで相対的な観念であって場合によってはがらりと入れ替わることもある。だから、何が善で何があくかということは、今われわれに何かを『強制している』もの、それが善的なものか悪的なものかを、個々の人間が個々の場面で見定めていかざるをえない。それは作業としてすごく孤独できついことですよね・・・。システムはそれがどのようなシステムであれ、個々の人間が個々に決断をくだすことを、ほとんどの場合認めないということです・・・。(クローズドサーキット=閉ざされたシステムでは)人は方向感覚を奪われ、強制する力が善であるか悪であるかということすら判断できない状況においこまれます」
何が善で何が悪なのか、というのはおおかたの場合、私が今生きているシステムの中でおのずと決められているのかもしれない。
「私」がシステムなしには語れないとしたなら、もしもシステムの一つでしかなかったなら、
私なんていないことになってしまうけど。
まぁ、それは置いておいて、「私」なりの答えを見つけたいと思ったら、やっぱりどちらかを拒否するのではなく、どちらをも聞いてみる姿勢が必要なんだろうと、思う。
春樹はふたつの「クローズドサーキット」=「閉ざされたシステム」であっても、お互いに移動することができる、声を聞くことができるっていう希望や望みみたいなものをやっぱり1Q84でも、海辺のカフカでも世界の終わりでも・・・いっているように私は思うんだけれど、私も春樹のいっているであろうことを信じたい。
そしたら、そしたらこのいるか漁に対する回答は私のなかで生まれてくる。
私の意見をだれかに伝えたいと思えば、それを映画を作った彼らのように伝えないといけないと思うし、同時に私とは違う意見の相手の声を聞く姿勢をもつべきだとも思う。
●ドキュメンタリーについて
「ドキュメンタリーは真実を写す、なんていうのはぜったいない」というようなことを
大学1年の時に森達也さんがいっていたのをきいて、マスメディアへの道にすすみたいと思ったんじゃないかな、と今思う。
ドキュメンタリーは嘘をつく。
どんなドキュメンタリー作品にも監督の意志やメッセージがきっとある。
事実を曲げることはねつ造だろうから、それは絶対にいけないけれど、
演出であれば、いまのところそれは許されている。のを、毎日テレビやマスコミの報道を見て気がつかされる。
ただ、メディアや報じることのできる人間は、報じる場所をもっているわけで、それは人を簡単に傷つける武器にもなるということをちゃんと感じていないといけないともおもう。
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エイズ記事
HIV理由に退職勧奨 愛知の病院側は否定
2010年4月30日 09時05分
愛知県内の大手病院で昨秋、エイズウイルス(HIV)感染が判明した30代の看護師が退職に追い込まれていたことが分かった。看護師は「病院幹部から看護師としては働けないと言われ、退職強要と受け止めた」と話している。病院側は「退職を求める意図はなかった」と、退職勧奨を否定している。
国の「職場におけるエイズ問題に関するガイドライン」では、HIV感染者を差別しないよう求めているが、医療現場は対象外とされている。医療現場向けのガイドラインは策定の必要性が指摘されてから15年以上たっても整備されておらず、国の不作為が今回のような問題を引き起こす一因となっている。
看護師と病院側によると、看護師は昨年9月、勤務中に過労で倒れ、院内で治療を受けた。その際、病院側は本人に断らずに採血検査をし、HIV感染の疑いが判明。翌日、看護師は別の医療機関で詳細な検査を受け、感染が確定した。エイズは発症していない。
看護師は、別の病気を理由に休暇を取った後、同10月中旬に感染確定の診断書を持参。最初は主に副院長と、2回目からは当時の職場だった施設の副施設長と数回、就労について話し合った。
その際、看護師は治療後の職場復帰に支障がないことを明記した診断書を示したが、副施設長は「うちでは看護職は続けられない。運転や配膳(はいぜん)の仕事はあるが、差し迫って人が必要なわけではない。他の理解ある病院に面倒を見てもらっては」と発言。看護師は同11月末、副施設長に「退職を強要されたと受け止めている」と伝え、辞表を提出した。
HIVは輸血や性行為を介し感染するが、日常生活では感染しない。適切な治療を受ければウイルスが激減して発症を抑えられ、米国などでは感染後も勤務を続ける医療関係者は珍しくない。
<エイズ(後天性免疫不全症候群)> HIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染して起きる病気。潜伏期間を過ぎて発症すると、体の免疫力が低下し、感染症などにかかりやすくなる。ウイルスの増殖を抑える抗HIV薬が開発され、先進国では「死に至る病」ではなくなりつつある。厚生労働省によると、国内のエイズによる死者は2001年に36人を数えたが、09年は2人にとどまった。世界全体では、発展途上国を中心に年間200万人(08年)の死者が報告されている。
(中日新聞)
エイズウイルス(HIV)に感染した愛知県の看護師が病院退職に追い込まれた背景にあるのは、HIV感染した医療関係者の就労についての基準がないことだ。
旧労働省(現厚生労働省)の「職場におけるエイズ問題に関するガイドライン」(一九九五年)は、感染を理由にした解雇や就業禁止をしないよう求めているが、医療現場はガイドラインの対象外とした。
旧労働省の検討委員会が九四年にまとめた報告書では、医療現場を「HIVに感染する危険を有する職場」と位置づけ、別にガイドラインを設けるよう問題提起した。委員は経営者や労働団体の代表、弁護士ら。医師は二人だけで、うち一人は産業医だった。
結局、医療現場向けのガイドラインは作られなかった。厚労省労働衛生課の担当者は「報告書に基づき、一般の職場と違って感染する可能性が高いと判断した」と話す。
一方、同様に血液を介し感染するB・C型肝炎について、厚労省の「Q&A」は、医療従事者が感染しても患者に感染する危険はほとんどないと説明。仕事の制限はないと明記する。HIVは感染力が弱く、針刺し事故による患者から医療従事者への感染率は、B・C型肝炎の十分の一以下。医療従事者から患者への針刺し事故はまず考えられない。
HIVの治療に詳しい愛知県赤十字血液センターの浜口元洋副所長は「看護業務で感染する危険はなく、HIVも肝炎と同様に扱われるべきだ。ガイドラインが医療現場を対象外とするのは間違っている」と指摘する。